
プロテインがドラッグストアで売れやすくなっている理由は、筋トレ層だけに需要があるからではない。 販路の意味が変わったためだ。プロテインは「ジムで飲むもの」から、「買い物ついでに補給する日用品」へ移りつつある。メーカー、小売、広告主にとっては、売場をスポーツ棚だけで見ないことが重要になる。
ドラッグストア自体が「健康×食品」の売場になった

経済産業省の商業動態統計によると、2024年のドラッグストア販売額は前年比6.9%増、店舗数は3.3%増だった。増加に最も寄与した商品は「食品」である[1]。また、同統計の調査票では「健康食品」にサプリメント、ダイエット食品などが含まれ、「食品」には菓子、飲料、日配品、加工品などが含まれる[2]。
つまり、ドラッグストアは医薬品だけの売場ではない。健康、食、日用品が同じ来店動機の中で買われる業態になっている。JACDSも、ドラッグストアを健康・美容の提案を主とし、日用雑貨や食品も扱う業態と説明する[3]。プロテインはこの境界に置きやすい商品である。
「目的買い」と「ついで買い」の両方を取れる

プロテインは、トレーニング後の補給という目的買いがある。一方で、昼食、間食、朝食代替、ダイエット中のたんぱく質補給など、日常のついで買いにも入りやすい。
ドラッグストアでは、サプリ、栄養ドリンク、低糖質食品、ヨーグルト、シリアル、化粧品と近い文脈で提案できる。この隣接性が、スポーツ専門店やECだけでは取り切れないライト層の接点になる。JACDSの重点施策でも「食と健康マーケット」の拡大が掲げられており、店頭提案の文脈とも合う[4]。
商品形態が「日用品化」に合ってきた

売れる理由は販路だけではない。商品側も変わった。大容量パウダーだけでなく、RTD飲料、バー、ゼリー、少量パックなどが増え、初回購入の心理的ハードルが下がった。
日用品化する商品には、すぐ使える、味を試せる、持ち運べる、価格が分かりやすいという条件が必要だ。ドラッグストアの棚では、これらの条件を満たす商品ほど衝動買いとリピートの両方を取りやすい。
実務ではリピート設計が勝敗を分ける

見るべき指標は、初回売上、フレーバー別回転率、2回目購入率、RTDからパウダーへの移行、セット購入率である。
メーカーは「たんぱく質量」だけでなく、味の継続性、飲用シーン、サイズ展開を設計する必要がある。小売は、プロテインをスポーツ棚に固定せず、健康食品、朝食、間食、ダイエット関連棚との連動で売場を作るべきである。POPでは、健康維持や栄養補給の範囲にとどめ、医薬品的な効能表現は避ける必要がある。
まとめ
ドラッグストアでプロテインが売れやすくなっている背景には、業態の健康生活拠点化、食品売場の拡大、商品形態の多様化、日常補給ニーズの定着がある。 プロテインはもはやスポーツ食品だけではない。日々の買い物の中で選ばれる「健康系日用品」として設計することが、今後の販路戦略の鍵になる。

参考文献
[1] 経済産業省「2024年小売業販売を振り返る」 (2025/6/10)
https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20250610_1.html
[2] 経済産業省「商業動態調査票丁3 記入要領(ドラッグストア用)」 (2024/1月)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/gaiyo/pdf/chosahyo_te3_2024_youryou.pdf
[3] 日本チェーンドラッグストア協会「ドラッグストアの定義」
https://jacds.gr.jp/outline-teigi/
[4] 日本チェーンドラッグストア協会「2025年度 今期の基本テーマと重点施策」