
アーモンドミルクは、低カロリーで風味を補いやすい割材です
プロテインパウダーを溶かす、または分散させる割材としては、従来「水」と「牛乳」が一般的でした。近年はこれに加えて、植物性飲料であるアーモンドミルク、とくに砂糖不使用タイプを選ぶケースも増えています。
植物性ミルク市場では、豆乳が大きな比率を占める一方、2019年度以降にアーモンドミルクやオーツミルクの購入量が伸びたとする市場分析もあります。
アーモンドミルク割りの特徴は、水割りに近い低カロリー・低糖質性を保ちながら、水だけでは出にくいコクや香ばしさを加えられる点にあります。
たとえば、江崎グリコ「アーモンド効果 砂糖不使用」は200mlあたり39kcal、たんぱく質1.0g、脂質2.9g、糖質0.88g、コレステロール0mgとされています。
普通牛乳は文部科学省データを200g換算すると約122kcal、たんぱく質約6.6g、脂質約7.6g、炭水化物約9.6gとなるため、アーモンドミルク砂糖不使用タイプは、牛乳よりエネルギーと糖質を抑えやすい割材と位置付けられます。
一方で、牛乳には割材自体にたんぱく質やエネルギーを追加できる利点があります。増量期や、プロテイン以外からもエネルギーを上乗せしたい場合には、牛乳割りが合理的な選択肢になります。
反対に、減量期や糖質・カロリー管理を重視する場合には、水または砂糖不使用アーモンドミルクが選びやすくなります。
栄養成分面での特徴

アーモンドミルク砂糖不使用タイプは、牛乳と比べてカロリーと糖質が低い点が大きな特徴です。代表例として、江崎グリコ「アーモンド効果 砂糖不使用」は200mlあたり39kcal、糖質0.88gです。一方、普通牛乳は食品成分データベース上、100gあたり61kcal、炭水化物4.8gであり、200g換算では約122kcal、炭水化物約9.6gとなります。
脂質については、アーモンドミルクにも一定量含まれます。ただし、アーモンドそのものの脂肪酸組成は一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸の比率が高いことが食品成分データベースでも示されています。したがって、「脂質ゼロ」ではありませんが、商品ごとの脂質量を確認しながら取り入れたい割材です。
沈殿・分散に関する物理的特徴

プロテインパウダーを液体に加えたとき、完全に溶ける成分もあれば、未溶解の微粒子や添加成分として液中に分散する成分もあります。こうした粒子の沈降速度は、液体の粘度に影響を受けます。ストークス則では、粒子の沈降速度は液体の粘度に反比例するため、粘度が高い液体では沈降が遅くなると説明できます。
市販のアーモンドミルクには、製品によって安定剤や増粘多糖類が使われている場合があります。たとえばカゴメ「アーモンド・ブリーズ 無糖」には、原材料としてセルロース、乳化剤、安定剤(増粘多糖類)などが記載されています。増粘多糖類の一種であるジェランガムは、飲料中の粒子沈降を抑える目的で用いられることがあり、研究でも懸濁粒子の沈降抑制に関する報告があります。
そのため、アーモンドミルク割りでは、水割りよりも未溶解粒子の沈降が緩やかになり、飲用中のテクスチャーが比較的なめらかに感じられる可能性があります。ただし、この効果は製品設計に依存します。原材料がアーモンドと水に近い無添加タイプでは、増粘多糖類による懸濁安定効果は限定的になる可能性があります。
香り・風味面での特徴

アーモンドミルクの香ばしさは、プロテイン特有の風味を和らげる要素になり得ます。アーモンドにはベンズアルデヒドなどの香気成分が含まれ、ロースト工程ではメイラード反応によってピラジン類、フラン類、ピロール類など、香ばしさに関与する揮発性成分が形成されます。
ホエイプロテインでは、原料や保管条件によって乳由来の香り、加熱臭、酸化由来のにおいが課題になることがあります。乳清原料の風味に関する技術資料では、脂質酸化やメイラード反応がオフフレーバーの一因として示されています。
ソイプロテインでは、大豆特有の青臭さ・豆臭さ・苦味などが課題になることがあります。大豆たんぱく質の風味に関する文献では、豆臭さや青臭さに関わる揮発性成分、脂質酸化との関係が指摘されています。
食品開発では、ナッツ系、甘味、脂質感、増粘成分などを利用してオフフレーバーを目立ちにくくする考え方があります。したがって、アーモンドミルクの香ばしさやコクは、ホエイやソイ由来の風味を感覚的にマスキングし、飲みやすさを高める可能性があります。
割材別の定量比較
以下は、各割材を約200ml使用した場合の比較です。牛乳については文部科学省データが100g単位であるため、ここでは簡易的に200g換算しています。アーモンドミルクは江崎グリコ「アーモンド効果 砂糖不使用」200mlの表示値を例にしています。
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評価項目 |
水 約200ml |
普通牛乳 約200g換算 |
アーモンドミルク砂糖不使用 200ml例 |
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エネルギー |
0kcal |
約122kcal |
39kcal |
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炭水化物・糖質 |
0g |
炭水化物 約9.6g |
糖質 0.88g |
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たんぱく質 |
0g |
約6.6g |
1.0g |
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脂質 |
0g |
約7.6g |
2.9g |
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コレステロール |
0mg |
約24mg |
0mg |
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テクスチャー |
さらっとしている |
濃厚 |
製品により適度なとろみ |
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風味 |
プロテインの味が出やすい |
ミルキー |
香ばしさ・ナッツ感 |
目的別の選び方
水割りは、割材由来のカロリー、脂質、糖質を極力加えたくない場合に適しています。減量末期や、摂取量を厳密に管理したい場面では最もシンプルな選択肢です。
牛乳割りは、割材自体からもたんぱく質、脂質、炭水化物、エネルギーを追加できるため、増量期や間食の栄養価を高めたい場合に向いています。ただし、乳糖不耐症の人では、牛乳や乳製品の摂取後に腹部膨満感、けいれん、水様性下痢、ガス、吐き気などが出る場合があります。
アーモンドミルク砂糖不使用タイプは、牛乳よりカロリーや糖質を抑えつつ、水よりも風味や口当たりを補いやすい割材です。乳糖を避けたい人、減量中でも飲みやすさを重視したい人、水割りでは継続しにくい人にとって、実用的な「第3の割材」として位置付けられます。ただし、アーモンドアレルギーがある人は避ける必要があり、製品ごとに栄養成分や添加物も異なるため、実際には商品ラベルを確認して選ぶことが重要です。

参考文献
[1]江崎グリコ株式会社「商品ラインアップ|アーモンド効果」
URL: https://cp.glico.com/almond-k/products/
確認日:2026年6月15日
[2]カゴメ株式会社「アーモンド・ブリーズ 無糖」
URL: https://www.kagome.co.jp/products/drink/A4029/
確認日:2026年6月15日
[3]文部科学省「食品成分データベース|乳類/普通牛乳」
URL: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=13_13003_7
確認日:2026年6月15日
[4]文部科学省「日本食品標準成分表・資源に関する取組」
URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/index.htm
確認日:2026年6月15日
[5]文部科学省「食品成分データベース|アーモンド/乾|脂肪酸成分」
URL: https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=5_05001_7&MODE=6
確認日:2026年6月15日
[6]一般社団法人 Jミルク「牛乳類・植物性ミルクの市場分析結果報告」
URL: https://www.j-milk.jp/about/2023/h4ogb4000000bk1y-att/03.pdf
確認日:2026年6月15日
[7]アーモンドミルク研究会/AtPress配信「アーモンドミルク、日本上陸以来“過去最高”の売上を記録」
URL: https://www.atpress.ne.jp/news/581717
確認日:2026年6月15日
[8]Cadence System Analysis「Deriving Stoke’s Law for Settling Velocity」
URL: https://resources.system-analysis.cadence.com/blog/msa2022-deriving-stokes-law-for-settling-velocity
確認日:2026年6月15日
[9]Bagheri et al.「Stability and Rheological Properties of Suspended Pulp Particles Containing Orange Juice Stabilized by Gellan Gum」
確認日:2026年6月15日
[10]Almond Board of California「HS-SPME GC/MS Characterization of Volatiles in Raw and Dry-Roasted Almonds」
URL: https://www.almonds.org/sites/default/files/2023-03/volatiles-research.pdf
確認日:2026年6月15日
[11]University of California, Davis/Xiao et al.「Volatiles in Raw and Dry-Roasted Almonds」
確認日:2026年6月15日
[12]U.S. Dairy Export Council / U.S. Dairy「Technical Report: Sensory Properties of Whey Ingredients」
確認日:2026年6月15日
[13]Royal Society of Chemistry「Soy Protein Flavours」
URL: https://books.rsc.org/books/edited-volume/2142/chapter-abstract/7800812/Soy-Protein-Flavours
確認日:2026年6月15日
[14]Frontiers in Microbiology「A mini review: Recent advances in the development of fermented soy-based foods in relation to flavor」
URL: https://www.frontiersin.org/journals/microbiology/articles/10.3389/fmicb.2022.1070773/full
確認日:2026年6月15日
[15]Institute of Food Technologists「Blessings in Disguise: Masking Off-Flavors」
URL: https://www.ift.org/food-technology-magazine/ingredients-masking-off-flavors
確認日:2026年6月15日
[16]MSDマニュアル家庭版「乳糖不耐症」
確認日:2026年6月15日