高たんぱく食品市場は「量」から「質と製造背景」へ進化する

高たんぱく食品市場は「量」から「質と製造背景」へ進化する

Protein hub編集部 編集部

マクロトレンド
高たんぱく食品市場は「量」から「質と製造背景」へ進化する

高たんぱく食品は日常の選択肢として広がっている

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健康志向とGLP-1時代が栄養設計を変える

高たんぱく食品は、筋力トレーニング層向けの専用品から、日常の食事でたんぱく質を補いたい人に向けた食品へと広がっています。関連市場であるタンパク補給食品の国内市場について、富士経済は2025年を3,096億円、2024年比4.4%増と見込んでいます。

背景には、運動習慣のある層だけでなく、高齢期の栄養管理やウェルビーイングへの関心があります。ただし、厚生労働省資料では、フレイル予防を目的としたたんぱく質量を一律に定めることは難しいとも示されています。

また、GLP-1受容体作動薬を用いた肥満症治療も、食品設計の新しい論点になっています。ウゴービは肥満症治療剤であり、美容・痩身・ダイエット目的での使用は避け、食事・運動など生活習慣の改善を継続することが示されています。 そのため市場では、効果を断定する訴求ではなく、少量でも栄養を取り入れやすい食品設計も論点になりつつあります。 

「高たんぱく」の価値は表示基準とアミノ酸の質で説明される

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17.0g基準とアミノ酸スコアを正しく押さえる

「高たんぱく」といった補給訴求を行う場合、食品表示基準に基づく確認が欠かせません。2025年改正では、たんぱく質の栄養素等表示基準値が81gから85gに見直されました。 これに伴い、「高い旨」の表示基準は、食品100g当たり17.0g、液状食品100ml当たり8.5g、または100kcal当たり8.5gとなっています。経過措置は2028年3月31日までです。

一方で、商品価値はたんぱく質量だけでは決まりません。アミノ酸スコアは、食品中の必須アミノ酸がアミノ酸評点パターンに対してどの程度含まれるかを比較した値の最小値です。 量の訴求に加えて、必須アミノ酸のバランスをどう設計し、どのように説明するかが差別化の軸になります。

製造現場では膜ろ過・工程管理・衛生設計が差になる

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WPC・WPIの製造とHACCP対応の考え方

高たんぱく食品の品質を支えるのが、原料加工と製造工程です。乳タンパク質では、膜ろ過によって脂肪球、カゼイン、ホエイタンパク質、乳糖、ミネラルなどを物理的に分離・濃縮する技術が広く用いられています。

WPCはホエーから乳糖やミネラルなどを分離してタンパク質を回収・粉末化したもので、一般的な製法として限外ろ過が用いられます。WPIでは、より高いタンパク質含量を得るため、イオン交換や膜処理などの工程が活用されます。

衛生管理では、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理として、計画作成、手順書整備、記録・保存、見直しが求められます。 ただしHACCPは工程管理を中心とする考え方であり、新しい施設設備や第三者認証を一律に求める制度ではありません。

粉体や液体を扱うラインでは、異物混入対策、温湿度管理、洗浄・殺菌手順、記録の仕組みを組み合わせることが、品質と説明責任を支えます。

安全性と説明可能性が持続成長の条件になる

高たんぱく食品市場は、単なる「たんぱく質量」の競争から、表示基準に沿った正確な訴求、アミノ酸の質、製造工程の透明性を競う段階へ進んでいます。

消費者や取引先に選ばれるためには、栄養設計の根拠を示すだけでなく、衛生管理や製造設備まで含めて説明できる体制が必要です。食品メーカーと設備メーカーが連携し、根拠ある商品設計と食品安全上のリスクを低減できる製造環境を整えることが、高たんぱく食品市場の持続的な成長につながります。 

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参考文献

[1]富士経済|「タンパク補給食品の国内市場を調査」

URL:https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=25116&la=ja

確認日:2026年6月16日

[2]厚生労働省|「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」

URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf

確認日:2026年6月16日

[3]PMDA/ノボ ノルディスク ファーマ株式会社|「取り違え防止に関するお願い ウゴービ®皮下注を使用される方へ」

URL:https://www.pmda.go.jp/RMP/www/620023/fe81b081-d145-4900-88cb-1dcfc4d3ebc5/620023_24994A6G5024_02_003RMPm.pdf

確認日:2026年6月16日

[4]消費者庁|「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(栄養成分表示)について」

URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims/info_session/assets/food_labeling_cms205_250722_02.pdf

確認日:2026年6月16日

[5]消費者庁|「事業者向け食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン 第5版」

URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/business/assets/food_labeling_cms206_250403_12.pdf

確認日:2026年6月16日

[6]農林水産省|「日本農林規格 大豆ミート食品類」

URL:https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_standard/attach/pdf/index-50.pdf

確認日:2026年6月16日

[7]Jミルク/国際酪農連盟(IDF)|「IDF Factsheet 009/2019-12 膜濾過を用いた乳タンパク質濃縮物および分離物の製造」

URL:https://www.j-milk.jp/jidf/wp-content/uploads/2020/07/J-Factsheet-009_2019-MPC.pdf

確認日:2026年6月16日

[8]J-STAGE/Milk Science|今井哲哉「ホエータンパク質の健康機能と利用」

URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/55/4/55_227/_pdf/-char/ja

確認日:2026年6月16日

[9]厚生労働省|「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化に関するQ&A」

URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000787793.pdf

確認日:2026年6月16日