ホエイ供給リスク時に注目される代替原料:ソイ・ピー・ライス・卵白の比較

ホエイ供給リスク時に注目される代替原料:ソイ・ピー・ライス・卵白の比較

Protein hub編集部 編集部

原料・素材
ホエイ供給リスク時に注目される代替原料:ソイ・ピー・ライス・卵白の比較

世界的な乳製品需給の変動や為替リスクにより、ホエイプロテインの供給・価格が不安定になることは、製品の安定生産における課題となる。従来のホエイ一極依存から脱却し、複数の代替原料を組み合わせた調達ポートフォリオを構築することは、事業継続計画(BCP)において重要な戦略の一つと考えられている。

代替原料の選定においては、単なるコスト比較にとどまらず、タンパク質含有率、アミノ酸スコア、アレルギーリスク、および加工適性を多角的に評価する「新たな判断軸」の確立が推奨される。

代替プロテイン原料の基本特性と栄養的特徴

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主要な代替原料であるソイ(大豆)、ピー(エンドウ豆)、ライス(米)、卵白(エッグ)は、それぞれ異なる栄養的特徴を持つ。植物性のソイは必須アミノ酸(体内で合成できず食事から摂取する必要があるアミノ酸)をバランスよく含み、アミノ酸スコアは100とされている。

ピーは分岐鎖アミノ酸(BCAA)が豊富である一方、メチオニンなどの含硫アミノ酸が不足しやすい傾向があり、ライスはリジンが不足しやすい制限アミノ酸を持つとされている。

これらは単体ではアミノ酸スコアが劣る場合があるものの、適切な比率でブレンドすることで互いの制限アミノ酸を補完し合い、スコアを向上させることが可能とされている [1]。動物性の卵白は脂質が極めて少なく [2]、ホエイと同様に優れたアミノ酸バランスと高い消化吸収性を持つ点が特徴と言える [1]。

高タンパク訴求における配合設計の判断軸

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代替原料へのシフトにおいて、商品開発上の留意点となるのが配合量の違いに伴う処方設計である。ADPI(American Dairy Products Institute)の定義によると、高純度なホエイ原料であるWPI(ホエイプロテインアイソレート)は乾物換算で少なくとも90%のタンパク質を含む[3]。

これに対し、文部科学省のデータによれば、分離大豆たんぱくのタンパク質含有量は100gあたり79.1gである[2]。ピー、ライス、卵白も素材の精製度により異なるが、一般にホエイに比べて含有率が低い傾向にある。

そのため、製品1食あたり同等のタンパク質量を確保しようとすると代替原料の総配合量が増え、それに伴って製品全体の粉体量、糖質、総エネルギー、および固有の風味も変化する場合がある。

スポーツ向けの低糖質・高濃度製品を維持するか、あるいは一般食品への栄養付与を目的とするかによって、判断軸を切り替えることが実務上有効と考えられる。

食品衛生法規と品質管理における実務上の注意点

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新規原料の導入時には、食品表示法に基づくアレルゲン管理への配慮が重要となる。消費者庁の基準において、卵は特定原材料として義務表示、大豆は特定原材料に準ずるものとして推奨表示が定められている[4]。ピーやライスは現時点で表示対象外であり、低アレルゲン設計の候補として検討されることがあるが、同一ラインで複数原料を扱う場合は交差汚染(意図しない微量混入)を防ぐ管理が求められる。

Codexのコード(CXC 80-2020)では、乾燥原料の粉じんによるアレルゲン交差接触を抑えるため、局所排気や設備カバーの設置などが例示されている[5]。

また、JFS-C規格等の食品安全マネジメントシステムでも、交差接触の防止管理が要求事項となっている[6]。代替原料特有の吸湿性による固結(ダマ)リスクを防ぐため、工場の温湿度管理や開封後の保管体制を適切に構築することも重要視される傾向にある。

配合設計の最適化と今後の選定基準

ホエイの供給逼迫を契機とした代替原料の導入は、製品の付加価値を再定義する機会とも捉えられる。アミノ酸スコアやタンパク質の純度を重視する場合はソイや卵白の採用が合理的であり、プラントベース(植物由来)志向や低アレルゲンといった市場トレンドを狙う場合はピーとライスのブレンドが有効な戦略となり得る。

事業者は、各原料の栄養価、法的な表示義務、製造ラインの粉体管理体制、およびサプライチェーンの安定性を包括的に評価し、自社の製品コンセプトに合致した最適な判断軸を持って原料選定を行うことが望ましいと考えられる。

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参考文献

[1] FAO/WHO "Dietary protein quality evaluation in human nutrition"

URL: https://openknowledge.fao.org/handle/20.500.14283/i3124e

確認日: 2026年6月22日 

[2] 文部科学省「食品成分データベース: 分離大豆たんぱく/塩分調整タイプ、乾燥卵白」

URL: https://fooddb.mext.go.jp/

確認日: 2026年6月22日 

[3] ADPI "Whey Protein Isolate"

URL: https://adpi.org/ingredient-resources/whey-protein-isolate/

確認日: 2026年6月22日

[4] 消費者庁「別添アレルゲンを含む食品に関する表示」

URL: https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_10.pdf

確認日: 2026年6月22日 

[5] Codex Alimentarius "Code of Practice on Food Allergen Management for Food Business Operators, CXC 80-2020"

URL: https://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/sh-proxy/en/?lnk=1&url=https%253A%252F%252Fworkspace.fao.org%252Fsites%252Fcodex%252FStandards%252FCXC%2B80-2020%252FCXC_080e.pdf

確認日: 2026年6月22日

[6] Japan Food Safety Management Association "JFS-C Standard Document Version 3.2"

URL: https://www.jfsm.or.jp/eng/scheme/docs/JFS-C%20Standard%20Document%20%5BRequirements%20for%20Organizations%5D%20Version%203.2.pdf

確認日: 2026年6月22日