
植物性たんぱく質の次世代ソースとして、スピルリナやクロレラなどの微細藻類が注目を集めている。本記事では、これら藻類たんぱく質がBtoB市場において有力なプロテイン原料となり得るかについて、栄養、味、価格、供給の4つの観点から結論と現状の課題を解説する。
高いたんぱく質含有量と生産効率(栄養・供給)

藻類最大の強みは、その卓越した栄養価と高い生産効率にある。
スピルリナは乾物重量あたり60〜70%という極めて高いたんぱく質を含有し、大豆などの既存の植物性原料を大きく上回る [1]。さらに、ビタミンB12や鉄分、β-カロテンなどのビタミン・ミネラル類も豊富に含む点が特徴である [1]。また、クロレラも同様に高たんぱくであり、葉酸やビタミンDなどを豊富に含む微細藻類として高く評価されている [2]。
供給(サプライチェーン)の観点では、藻類は、栄養源や培養条件を管理することで、省資源な生産が期待される [3]。単位面積あたりのたんぱく質生産性は、大豆の15倍以上に達するという研究結果もある [4]。そのため、中長期的な食糧危機や、将来の宇宙空間での自給自足に向けたサステナブルなプロテイン原料として、極めて高いポテンシャルを秘めている [3] [4]。
商品化における「味」と「価格」の壁

一方で、プロテイン製品の主原料として広く普及するには、いくつかの実務的な課題が存在する。
まず「味(風味)」の面において、スピルリナやクロレラには特有の「磯の香り」や青臭さがあり、これが一部の消費者にとって好まれない要因となっている [1]。そのため、飲料や食品に配合する際は、マスキング技術などを活用して特有の匂いや風味を減少させる処理技術が重要になる [5]。
さらに、「価格」の面でも既存のホエイ(乳清)やソイ(大豆)プロテインに比べて割高である。藻類の培養自体は効率的だが、たんぱく質を高度に抽出・精製し、プロテイン粉末として加工するプロセスのコストが高くなりやすいためである [6]。商用化にあたっては、抽出工程の低コスト化を進めるとともに、単なるたんぱく質補給にとどまらない、健康志向のプレミアム市場を狙う付加価値設計が求められる [6]。
まとめ
藻類たんぱくは、栄養価と供給効率の面で極めて優秀であり、プロテイン原料になり得る十分な素質を持っている。しかし、特有の風味(味)の改善と、抽出にかかる価格の低減が、広範な商用化に向けた最大のハードルとなっている。まずは、ビタミンやミネラルを含むその豊富な栄養価を活かした、高付加価値型の製品から市場導入を進めることが現実的である。

参考文献
[1] 京都産業大学「スピルリナの一般食品への利用に関する一考察(1)」
URL: https://lib.ksu.ac.jp/search/kiyo51-2/kiyo-51-2satoh,mankura,kodo.pdf
確認日: 2026年6月26日
[2] 株式会社ロゴスコーポレーション「八重山クロレラ」
URL: https://www.logos-co.jp/pages/chlorella
確認日: 2026年6月26日
[3] EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト「藻類が 地球を 救う!?」
URL: https://www.expo2025.or.jp/expo-archive/japanpavilion/assets/pdf/issue-ja-06.pdf
確認日: 2026年6月26日
[4] 宇宙航空研究開発機構(JAXA)「食用藻類スピルリナを用いた省資源かつコンパクトなタンパク質生産システムの開発」
URL: https://www.ihub-tansa.jaxa.jp/assets/prev/files/report_2020/2020report_4_3_4.pdf
確認日: 2026年6月26日
[5] 森永製菓株式会社「タンパク質危機に向けて新しいタンパク質を使用した次世代のプロテインバー『inバープロテインNEO<スピルリナ>』」
URL: https://www.morinaga.co.jp/company/newsrelease/detail.php?no=2752
確認日: 2026年6月26日
[6] Research Nester「藻類タンパク質市場規模とシェア|2035年までの予測レポート」 URL: https://www.researchnester.com/ja/reports/algae-protein-market/4734
確認日: 2026年6月26日