
たんぱく質食品の開発において、官能評価は市場での受容性を判断するための重要なプロセスの一つである。本記事では、高たんぱく質食品(特に植物性代替食品など)の開発現場において、味・香り・食感・後味がどのように評価されているのかを解説する。
新製品開発における官能評価の役割

食品業界の新製品開発(NPD: New Product Development)において、官能評価は極めて重要な役割を果たしている [1]。調査によれば、食品開発企業の約70%が新製品開発に官能評価手法を適用していることが報告されている [1]。特に、企業規模の大小を問わず、多くの企業は専門家による分析的なテストよりも、消費者による嗜好性テスト(Affective test)を重視して導入している [1]。植物性たんぱく質などの新しい素材を活用した製品を市場に投入する際、消費者の好みを正確に測定することが開発の成否を分ける要素となっている [1]。
味・香り・後味:オフフレーバーの把握とマスキング

たんぱく質素材の開発において、味(Taste)、香り(Aroma)、後味(Aftertaste)は連動して測定される。植物性たんぱく質(代替肉など)は、不飽和脂肪酸の酵素的酸化などに由来する特有の「豆のような香り、風味、後味(Beany aroma, flavor, and aftertaste)」を持つことが報告されている [2]。さらに、植物由来のたんぱく質は渋み(Astringent)や苦味(Bitter)を伴うことが多い [2]。
官能評価では、これらの不快な香りや味、後味が、様々なフレーバー成分の添加によってどの程度適切にマスキング(隠蔽)されているか、あるいは代替対象(牛肉など)に近い旨味(Umami)が発現しているかを定量的に評価する [2]。
食感と消費者の受容性(満足感):テクスチャーの可視化

食感(Texture)と、それに伴う消費者の受容性(Consumer acceptance:受容性・好意度)は、製品評価における重要な指標とされている。研究によると、動物性たんぱく質から植物性たんぱく質への置き換えは、外観、匂い、味、食感の全ての感覚次元に影響を与える [3]。
特に代替肉の開発では、動物性肉に比べて多汁性(Juiciness)や弾力性(Elasticity)、硬さ(Firmness)といったテクスチャーが不足しがちであることが課題として指摘されている [3]。また、代替乳製品においては、均一でクリーミーなテクスチャー(Creamy and thick texture)の再現と、原料由来の香り・風味の改善が同時に求められる [3]。
官能評価において、製品カテゴリごとの適切な処理戦略を用いて不快な官能特性を軽減し、テクスチャーの課題を解決することが、最終的な消費者の受容性を高めるうえで重視されている [3]。
たんぱく質食品開発における官能評価のまとめ
たんぱく質食品の開発において、味・香り・食感・後味の項目は、消費者の最終的な受容性に深く繋がる。開発担当者はこれらの指標に対する消費者テストを実施し、原料特有のオフフレーバーやテクスチャーの不足といった課題を客観的データとして把握し、製品の最適化を図る必要がある。

参考文献
[1] MDPI Foods「Trends of Using Sensory Evaluation in New Product Development in the Food Industry in Countries That Belong to the EIT Regional Innovation Scheme」 URL: https://www.mdpi.com/2304-8158/10/2/446 確認日:2026年7月1日
[2] MDPI Molecules「Descriptive Sensory Attributes and Volatile Flavor Compounds of Plant-Based Meat Alternatives and Ground Beef」 URL: https://www.mdpi.com/1420-3049/28/7/3151 確認日:2026年7月1日
[3] Frontiers in Sustainable Food Systems「Sensory properties and consumer acceptance of plant-based meat, dairy, fish and eggs analogs: a systematic review」 URL: https://www.frontiersin.org/journals/sustainable-food-systems/articles/10.3389/fsufs.2023.1268068/full 確認日:2026年7月1日