
プロテインの販路は、スポーツ用品店だけでなく、ドラッグストアをはじめとする日用品チャネルにも広がっている。本稿は、プロテイン製品が日常のタンパク補給食品として定着し、ドラッグストアで購入されやすくなっている理由と、スポーツ用品から日用品へ移る販路変化の構造を明らかにする。
販路変化の構造:スポーツ用品から日用品への移行

かつてプロテイン(タンパク質を主成分とする粉末や加工食品)は、限られたアスリートやボディビルダーが筋肉増強を目的として消費するスポーツ用品であり、主たる販路はスポーツ専門店やフィットネスジムであった。しかし現在、その位置づけは日常的な栄養補給を目的とした日用品へと大きく変化している。 富士経済グループがタンパク補給食品の国内市場を調査した結果からも、日常的な健康維持や美容を目的としたタンパク補給の需要が着実に拡大傾向にあることが示されている [1]。この消費者ニーズの裾野の拡大こそが、スポーツ用品から日用品へ移る販路変化を構造化する最大の要因であると考えられる。プロテインは、特別なトレーニング用品の枠組みを抜け出し、誰もが日常的に摂取する一般食品として認知されるようになってきている。
ドラッグストアがプロテイン販売の受け皿となる理由

日用品化したプロテインの販売において、最も親和性が高い小売チャネルがドラッグストアである。日本チェーンドラッグストア協会は「ドラッグストアの定義」として、健康と美容に関する提案・訴求を主とし、医薬品や化粧品を中心に、日用品や食品等を取り扱う店舗であると示している [2]。 また、経済産業省の「商業動態調査票丁3記入要領(ドラッグストア用)」においても、ドラッグストアは医薬品や化粧品だけでなく、食品や日用雑貨を幅広く扱う店舗として明確に位置づけられている [3]。 ドラッグストアは「健康」や「美容」をキーワードとした商材を求めて来店する顧客層を多く抱えている。日常的なタンパク補給食品として日用品化したプロテインは、ドラッグストアの主要顧客層と合致すると考えられる。さらに、スポーツ用品店に足を運ばない一般消費者にとって、生活圏内で手軽に購入できるドラッグストアは、購買のハードルを下げる最適な購入場所となっている。
小売展開における品質管理と表示の注意点

ドラッグストアという日用品チャネルでプロテインを広く展開するにあたり、事業者は食品としての厳格な品質管理と適切な表示を遵守しなければならない。 消費者庁が提示する「栄養成分表示について」の資料に基づき、食品表示法に従ってエネルギーやタンパク質、脂質などの正確な栄養成分表示を行うことが義務付けられている [4]。一般の消費者が他の食品と比較し、日常食として安全かつ適切に摂取するためには、これらの客観的なデータ提示が不可欠である。 さらに、販売促進の際にも法的な制約が存在する。消費者庁の「健康増進法(誇大表示の禁止)」に基づき、病気の予防効果を標榜するような表現や、科学的根拠のない健康効果を断定することは厳しく禁止されている [5]。事業者は、機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品、および通常食品の区分を厳密に管理し、これらを混同するような表現や客観性を欠く情報提供を行ってはならない。
販路変化を見据えた事業展開のまとめ
プロテインがドラッグストアで売上を伸ばしている理由は、商材の価値がスポーツ用品から日用品へと転換し、健康や美容をテーマとするドラッグストアの業態特性と見事に合致したためである。 日本チェーンドラッグストア協会が示す「2025年度 今期の基本テーマと重点施策」からも、日々の生活を支える健康関連商材の拡充が業界全体で推進されていることが読み取れる [6]。 今後、事業者がプロテイン市場において競争優位性を確立するためには、この販路変化の構造を正しく理解することが求められる。ターゲットをアスリートから一般消費者へと広げるとともに、厳格な品質管理と法令に則った表示を徹底した、日用品としての確固たる商品設計を行うべきである。

参考文献
[1] 富士経済グループ「タンパク補給食品の国内市場を調査」
URL:https://www.fuji-keizai.co.jp/press/detail.html?cid=25116&la=ja
確認日: 2026年6月24日
[2] 日本チェーンドラッグストア協会「ドラッグストアの定義」
URL:https://jacds.gr.jp/outline-teigi/
確認日: 2026年6月24日
[3] 経済産業省「商業動態調査票丁3記入要領(ドラッグストア用)」
URL: https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/gaiyo/pdf/chosahyo_te3_2024_youryou.pdf
確認日: 2026年6月24日
[4] 消費者庁「栄養成分表示について」
URL: https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/
確認日: 2026年6月24日
[5] 消費者庁「健康増進法(誇大表示の禁止)」
URL: https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement
確認日: 2026年6月24日
[6] 日本チェーンドラッグストア協会「2025年度 今期の基本テーマと重点施策」
URL: https://jacds.gr.jp/outline-thema/
確認日: 2026年6月24日