
プロテインシリアルやプロテインバーの市場において、「糖質オフ」や「食物繊維強化」といった低糖質訴求が活発化している。事業者として正確な製品設計とマーケティングを行うためには、「ネットカーボ」の概念を正しく理解し、食品表示基準に則った成分表示を遵守することが不可欠である。
ネットカーボと炭水化物・糖質表示の違い

食品成分としての炭水化物は、体内で消化吸収されてエネルギー源となる「糖質」と、消化吸収されにくい「食物繊維」の2つから構成されている[1]。
米国などで用いられるネットカーボ(Net Carbs:正味の炭水化物)とは、総炭水化物量から食物繊維や糖アルコールを差し引いて考える用語である。ただし、日本の食品表示上の「糖質」と同義ではなく、制度上は炭水化物の内訳として糖質・食物繊維を確認する必要がある。
低糖質を訴求するプロテインシリアルの市場動向

シリアル市場では、たんぱく質を付加しながら同時に糖質を低減させるアプローチが主流となっている。例えば、日清食品グループの食物繊維強化商品である「ごろグラ 糖質60%オフ チョコナッツ」は、同重量の通常品と比較して糖質を60%削減しつつ、大豆パフやナッツ類を活用することでたんぱく質と食物繊維を同時に強化した設計を採用している。
また、カルビー株式会社の「Granola+(グラノーラプラス)」シリーズなども、大豆由来のたんぱく質などを活用して栄養機能を追加している。このような商品設計では、たんぱく質や食物繊維といった成分を増やしつつ、糖質を抑えるための配合バランスの調整が考慮されることが多い。
表示ルールとコンプライアンス上の注意点

「糖質オフ」や「低糖質」をパッケージで訴求する場合、事業者は栄養成分表示との整合や根拠のある比較表示に注意する必要がある。食品表示基準に基づき、栄養成分表示は原則として熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量(ナトリウム)の順で表示することが義務付けられている。
ここで低糖質訴求の注意点となるのが、糖質に関する強調表示を行う際の規則である。糖質や食物繊維の量について「オフ」などの強調表示を行う場合、あるいは任意で糖質含有量を表示する場合には、表示を読み解く消費者に向けて、炭水化物の内訳として「糖質」および「食物繊維」の量を明記することが求められる[5][6]。
総炭水化物量のみの記載で「糖質オフ」を謳うことはできないため、配合計算と分析の段階で糖質と食物繊維の数値を正確に把握しておく必要がある。
まとめ
プロテインシリアルやプロテインバーにおける炭水化物・糖質表示の整理は、商品開発と表示設計の重要な要素である。単に低糖質・高たんぱく質を謳うだけでなく、炭水化物から食物繊維を差し引いた糖質量の正確な把握と、食品表示基準に基づく適切なパッケージ表示の徹底が、事業者に求められる必須の要件である。

参考文献
[1] 厚生労働省「炭水化物 / 糖質(e-ヘルスネット)」 URL: https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-018
確認日: 2026年6月29日
[2]UCLA Health「Net carbs are carbs minus fiber and sugar alcohols」
URL:https://www.uclahealth.org/news/article/net-carbs-are-carbs-minus-fiber-and-sugar-alcohols
確認日::2026年6月29日
[3] 日清食品「「ごろグラ 糖質オフ」シリーズ3品 (9月30日発売)」
URL: https://www.nissin.com/jp/company/news/12887/
確認日: 2026年6月29日
[4] カルビー株式会社「ニュースリリース 『Granola+ プロテイン&コラーゲン』」
URL: https://www.calbee.co.jp/newsrelease/221027b.php
確認日: 2026年6月29日
[5] 消費者庁「栄養成分表示について」
URL: https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation
確認日: 2026年6月29日
[6]秋田県生活衛生課「栄養成分表示と食品表示のきほん」
確認日:2026年6月29日