ピープロテインとは何が新しい?エンドウ豆由来たんぱくの特徴

ピープロテインとは何が新しい?エンドウ豆由来たんぱくの特徴

Protein hub編集部 編集部

原料・素材
ピープロテインとは何が新しい?エンドウ豆由来たんぱくの特徴

ピープロテインは、エンドウ豆からたんぱく質を濃縮・分離した植物性たんぱく素材です。新しいのは、エンドウ豆そのものではありません。乳たんぱくやソイプロテインに偏りがちだったプロテイン設計に、「ソイ以外の植物性たんぱく」という選択肢を加えた点がポイントです。

この記事では、ピープロテインがなぜ注目されるのか、栄養面でどこを見るべきか、生活者と事業者がアレルゲン配慮として扱うときの注意点を整理します。

ピープロテインとは何か

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ピープロテインは、乾燥エンドウ豆からでんぷんや食物繊維を分け、たんぱく質画分を高めた原料です。食品では「ピープロテイン」「エンドウ豆たんぱく」「pea protein isolate」「pea protein concentrate」などの形で使われます。

用途は多岐にわたります。プロテインバーはもちろん、植物性ミート、麺、パン、菓子、スープ、飲料など、高たんぱく化したい食品の基材にもなっています。レビューでは、ピープロテイン分離物の機能性として、溶解性、保水・保油性、乳化、泡立ち、ゲル化などが挙げられています[1]。つまり、栄養を足すだけではなく、食品の食感や物性にも関わる素材なのです。

何が新しいのか:ソイ以外の植物性たんぱくとして使える

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ピープロテインの新しさは、「植物性プロテイン」という市場を大豆中心から広げた点にあります。

これまでの植物性たんぱく素材においては、ソイプロテインが代表的な選択肢でした。これは名前の通り、ソイ(大豆)から作られる粉末です。供給量や加工適性の面で使いやすいため、今でもプロテインパウダー、バー、植物性ミートなどに広く使われています。

一方で、商品設計では「大豆を使いたくない」「ソイ以外の植物性素材として差別化したい」という場面もあります。特に大豆は、日本のアレルギー表示「特定原材料に準ずるもの」に含まれているからです。

そこで使いやすい候補になるのが、エンドウ豆由来のピープロテインです。

大豆と異なり、エンドウ豆は現在の特定原材料等29品目には含まれていません[2]。そのため、ピープロテインは「大豆不使用」の植物性プロテインや、乳を使わない高たんぱく食品を設計する際の選択肢になるのです。

ただし、ここで注意したいのは、ピープロテインが「アレルゲンフリー」を意味するわけではないことです。エンドウ豆も豆類由来の原料であり、ピープロテインによるアレルギー報告自体はあります[3]。したがって、訴求としては「大豆を使わない植物性たんぱく素材」と表現するのが適切です。「アレルギーの心配がない」といった言い方は避ける必要があります。

栄養面の特徴:リシンは強み、含硫アミノ酸は設計で補う

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商品開発においては、ピープロテインは植物性たんぱくとして扱いやすい一方、栄養面ではアミノ酸組成を見て設計する必要があります。

「たんぱく質の質」を評価する指標の一つにDIAASがあります。DIAASは、必須アミノ酸の量だけでなく、消化されて利用される量を考慮する評価指標です[4]。2017年の研究では、エンドウたんぱく濃縮物のDIAASは、6か月〜3歳基準で62、3歳以上・成人基準で73と報告されました。同じ研究では、大豆たんぱく分離物はそれぞれ84、98でした[5]。

生活者向けに翻訳すると、以下のようになります:

  • DIAAS = 「たんぱく質が体内でどれくらい消化・利用されやすいか」を見る成績表 

  • それぞれの点数 = 大豆プロテイン > ピープロテイン

数字からは一見「ピープロテインは大豆プロテインに劣る」ように見えます。しかし、ピープロテインのスコアが伸び悩む理由は、一部のアミノ酸(メチオニンやシステイン)が不足しがちだからです。

これは不足した含硫アミノ酸を補完することで解決できます。お米やオーツ麦などの「穀物」がその代表です。穀物は、ピープロテインで不足しがちな含硫アミノ酸を補う組み合わせとして使われることがあります。 反対に、穀物に不足しがちなリシンは、ピープロテインに多く含まれています。そのため、豆類と穀物を組み合わせると、弱点を相互補完できます。市販されているピープロテイン商品の多くが、米たんぱくやオーツ麦などとブレンドされているのはこのためです。 

商品の訴求においては、「ピープロテインが単体で優れている」ではなく、「1日の食事全体でたんぱく源を組み合わせることで特徴を活かしやすい」と説明すると誤解が少ないでしょう。

商品開発で見落としやすい点

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事業者がピープロテインを使う場合、見落としやすい項目が3つあります。「味」「溶けやすさ」「表示」です。

まず、風味です。ピープロテインは、豆由来の青臭さや粉っぽさが課題になることがあります。しかし甘味料や香料だけで隠そうとすると、後味が重くなる場合があります。飲料では溶解性、バーや焼き菓子ではパサつき、代替肉では繊維感や保水性が評価ポイントになります。研究では、ピープロテインの構造や加工条件が溶解性、乳化、ゲル化などに影響することが示されています[6]。

次に、アレルゲン配慮の伝え方です。「大豆不使用」と表示するなら、配合表に加えて、原料規格書、製造ラインでの大豆使用の有無、保管時の混入防止、洗浄記録まで確認する必要があります。ピープロテインを使っている場合は、生活者が原材料名を見て判断できるよう、「植物性たんぱく」よりも「エンドウ豆たんぱく」と具体的に伝える設計が望ましいです。

生活者側も、「植物性=自分に必ず合う」とは考えない方が安全です。乳、大豆、小麦を避けたい人にとってピープロテインは選択肢になりますが、豆類でアレルギー反応が疑われる経験のある人は、原材料名を確認し、必要に応じて医師などの専門家に相談する方が安全です。

ピープロテインは「設計」で使いやすい

ピープロテインの新しさは、ソイ以外の植物性たんぱくとして商品設計に使いやすい点にあります。

大豆不使用、乳不使用、プラントベース、高たんぱく食品と相性がよく、生活者側にとっては選択肢が広がり、事業者側にとっては原料設計と差別化の材料になります。一方で、含硫アミノ酸の補完、風味・溶解性の調整や、アレルゲン表現の慎重さは欠かせません。

ピープロテインは決して「万能な」次世代素材ではなく、「特徴を理解して使うことによって価値が出る」植物性たんぱく素材です。

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参考文献

[1] Lam A.C.Y., Can Karaca A., Tyler R.T., Nickerson M.T.「Pea protein isolates: Structure, extraction, and functionality」

URL:https://agris.fao.org/search/en/providers/122535/records/65df39904c5aef494fe0fd88

確認日:2026年6月5日

[2] 消費者庁「別添 アレルゲンを含む食品に関する表示」

URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_23.pdf

確認日:2026年6月5日

[3] Taylor S.L., Marsh J.T., Koppelman S.J., Kabourek J.L., Johnson P.E., Baumert J.L.「A perspective on pea allergy and pea allergens」

URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0924224421004556

確認日:2026年6月5日

[4] FAO「Dietary protein quality evaluation in human nutrition: Report of an FAO Expert Consultation」

URL:https://www.fao.org/4/i3124e/i3124e.pdf

確認日:2026年6月5日

[5] Mathai J.K., Liu Y., Stein H.H.「Values for digestible indispensable amino acid scores (DIAAS) for some dairy and plant proteins may better describe protein quality than values calculated using the concept for protein digestibility-corrected amino acid scores (PDCAAS)」

URL:https://animalnutr-ansci.faculty.ucdavis.edu/wp-content/uploads/sites/342/2019/08/Mathai-et-al.-2017.pdf

確認日:2026年6月5日

[6] Asen N.D., Aluko R.E., Nickerson M.T.「Physicochemical and Functional Properties of Membrane-Fractionated Heat-Induced Pea Protein Aggregates」

URL:https://www.frontiersin.org/journals/nutrition/articles/10.3389/fnut.2022.852225/full

確認日:2026年6月5日