CIP洗浄とプロテイン飲料製造:粉末原料を使うラインの注意点

CIP洗浄とプロテイン飲料製造:粉末原料を使うラインの注意点

Protein hub編集部 編集部

バリューチェーン
CIP洗浄とプロテイン飲料製造:粉末原料を使うラインの注意点

近年、開けてそのまま飲めるRTD(Ready To Drink)タイプのプロテイン飲料の需要が高まっている。それに伴い、飲料工場などでホエイや大豆タンパクなどの粉末原料を溶解し、液体として殺菌・充填する製造ラインが広く稼働している。

結論として、プロテイン飲料の安全な製造には、タンパク質の強固な汚れや粉末特有の溶解不良リスクを考慮し、自社ラインに個別最適化されたCIP(定置洗浄)プログラムの構築が不可欠である。

プロテイン飲料製造におけるCIP洗浄の役割

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タンパク質の特性とCIPの必要性

CIP(Cleaning In Place:定置洗浄)とは、配管やタンクなどの製造設備を分解することなく、内部に洗浄液を循環させて自動的に洗浄するシステムである。

プロテインの主成分であるタンパク質は、殺菌のための熱交換器周辺など高温環境下で熱変性を起こしやすく、設備の表面に強く固着する。手作業による物理的清掃が困難な配管内部において、水流と薬剤を組み合わせたCIPの適切な運用は、製品の衛生管理上重要な要素となる。

微生物増殖とバイオフィルム形成

洗浄が不十分でタンパク質などの汚れが残留すると、微生物の栄養源となる。厚生労働省が公開する『清涼飲料水の製造における衛生管理計画手引書』においても、製造設備およびライン全般の清浄度維持が微生物制御の基本として明記されている[1]。

汚れを放置するとバイオフィルム(微生物が形成する粘膜状の集合体)を形成し、殺菌剤が浸透しにくくなるため、毎回の生産終了後の確実な洗浄が求められる。

粉末原料特有の汚染リスクと対応

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未溶解の「ダマ」がもたらす課題

粉末原料からプロテイン飲料を製造する際、特有の課題となるのが溶解不良による「ダマ(粉の塊)」の発生である。粉末が完全に溶解せず固形のままラインに流入すると、配管のエルボ(曲がり角)やポンプ内部の隙間に滞留しやすい。このような固形の塊は、液体の汚れ以上に強固な汚染源となる。

迅速な予備洗浄の重要性

設備を使用したまま放置すると雑菌が増殖しやすくなるため、生産終了後は速やかに温水などで予備洗浄(プレリンス)を行い、大まかな残渣を洗い流すことが重要である[2]。また、洗浄後の設備内に水分が残ると雑菌の温床になるため、使用した機器は洗浄後によく乾かし、水分を残留させないことが基本となる。

有機・無機汚れを落とす効果的な洗浄手順

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アルカリ洗浄と酸洗浄の組み合わせ

プロテイン製造のCIPでは、タンパク質や脂質などの「有機物汚れ」を水酸化ナトリウムなどのアルカリ洗浄液で溶解・分解する工程と、ミネラル分などの「無機物汚れ」を酸洗浄で落とす工程を組み合わせるのが一般的である[3]。薬剤の濃度や温度を一定に保つことで、洗浄品質を安定させる。

一般論に頼らない個別最適化

ここで注意すべきは、一般論としての洗浄条件を、そのまま自社の全ラインに一律適用してはならない点である。配管の太さやポンプの構造、扱うプロテイン粉末の性質(動物性か植物性か)などにより、最適な洗浄時間・流速・薬剤濃度・温度のバランスは変動する。自社設備に応じた個別判断によるパラメータ設定が必要である。

 一般衛生管理とHACCPに基づく検証

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HACCPと一般衛生管理の適切な区別

設備の洗浄は製品の安全を担保する土台であるが、CIPを含む「一般衛生管理」と、工程の重要管理点(CCP:加熱殺菌工程など)を制御する「HACCP」は明確に区別して運用する。CIPシステムは前提となる一般衛生管理プログラム(PRP)に位置づけられ、この土台が不十分な場合、HACCPの殺菌工程だけを強化しても衛生管理上のリスクが残る。

業種別手引書の活用と効果検証

衛生管理計画を策定する際は、各業界団体の「業種別手引書」の有無を確認し、自社の工程に適合した基準を参照することが推奨される[1]。また、設定したCIPプログラムが実際に効果を上げているかを確認するため、すすぎ水(リンス水)のpH確認やATP拭き取り検査などを通じて、客観的な数値による検証を記録に残すことが重要である[2]。

まとめ

プロテイン飲料の粉末溶解ラインでは、タンパク質の固着や未溶解粉末のダマによる汚染リスクが常に存在する。

これらを防ぐには、設備構造に合わせたCIP条件の個別最適化と、迅速かつ確実な洗浄手順の遂行が不可欠である。一般論に頼らず、業種別手引書やHACCPの考え方を取り入れた客観的な衛生管理計画を運用することが、安全で高品質な製品製造の基盤となる。

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参考文献

[1] 一般社団法人全国清涼飲料連合会 清涼飲料水の製造における衛生管理計画手引書

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000398573.pdf

[2] ユーシー産業株式会社 食品工場のCIP洗浄(定置洗浄)完全ガイド|手順・薬剤・効果検証を徹底解説 

https://u-fmnet.jp/cip-cleaning-guide/

[3] 伏虎金属工業株式会社 CIP(定置洗浄)ポンプの仕組み・主な種類・導入事例を解説

https://www.fukko.com/column/applications/cip/