産学連携で進むたんぱく質研究:未知の領域から社会実装へのシフト

産学連携で進むたんぱく質研究:未知の領域から社会実装へのシフト

Protein hub編集部 編集部

アカデミア・研究
産学連携で進むたんぱく質研究:未知の領域から社会実装へのシフト

なぜ今、たんぱく質研究において産学連携が必要なのか

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生命活動の根幹「プロテオミクス」が持つ産業的ポテンシャル

プロテオミクスという技術は細胞内のたんぱく質を網羅的に解析するものであり、現在は個別化医療や精密医療への需要増大、創薬パイプラインにおける、プロテオミクス技術の採用・活用領域の拡大、そして農業ゲノミクスおよび食品安全におけるプロテオミクスの利用拡大などもされており、プロテオミクスの価値は上昇し、世界中で使われている。

そして研究資金を増加させている国も少なくない。その為、今は基礎研究に留まらずビジネスの場でも求められている。つまり現在、たんぱく質研究は単なる学問分野だけではなく、企業などのビジネスの分野でも需要が高まっている。

単独開発の限界と「産」×「学」が補い合うシナジー

上記のようにたんぱく質研究というものは現在大きく市場規模が拡大しており、プロテオミクスなどの先端技術も必要になってくる。そういった中で、ビジネスとしてのたんぱく質研究では企業の市場開拓力と大学などの先端技術を掛け合わせてお互いの強み、弱みを補える関係が必要になると考えられる。

研究スピードを爆発的に加速させる「AI」

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AIによるタンパク質構造予測のブレイクスルー

2024年のノーベル化学賞が、タンパク質の構造予測AIを開発した米国の研究者らに授与されるなど、AIによる革新が加速している。このAIの開発により正確に、より早くたんぱく質構造を把握することができるようになり、それは創薬やたんぱく質研究の観点で大きな進歩に繋がる。

このようなAI技術の進展は、大学や研究機関の基礎研究と、企業による応用・社会実装をつなぐ重要な基盤になっている。産学それぞれの強みを組み合わせることで、たんぱく質研究の成果を創薬や素材開発などに広げやすくなる。これも一つの産学連携であり、産学連携によりたんぱく質研究が進んだ事例であろう。

産学連携がもたらす革新領域の実例

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有用タンパク質生産の事例 

産学連携によるたんぱく質研究の具体例として、植物を用いた有用タンパク質生産の研究開発がある。これは、植物を活用して有用物質を生産するバイオものづくりの取り組みであり、複数の大学・研究機関・企業が共同で進めている。

この研究では、国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科(東京大学)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、国立大学法人横浜国立大学、鹿島建設株式会社(鹿島)、デンカ株式会社、国立大学法人北海道大学が共同して「遺伝子組換え植物を利用した大規模有用物質生産システムの実証開発」プロジェクトに取り組んでいる。これまで、遺伝子組み換え技術を利用して多くの有用たんぱく質を生産してきたが、それらのほとんどは微生物などを用いてきた。

しかし温暖化や温室効果ガスなどの環境への影響を考えると植物の利用は欠かせない手段となっている。この研究では、それぞれのプロセスでそれを得意とする企業や大学、研究機関が担当し、解決が必要な課題が出てきたらそれに関して研究開発を行い、最終的にこれらを融合・統合することで一気通貫型システムの開発を進めている。

これは世界的にも初の試みであり、このたんぱく質研究では有用たんぱく質の生産と同時に日本独自のプロセスを構築することも目標としている。

未来の生活を支えるエコシステムへの進化

大学などの学問機関と企業などの産業機関にはそれぞれに得意と不得意の分野が存在する。その為、それぞれが独立して研究、開発をしていくには限界がある。

つまり産学連携とは一過性のものではなく、新産業を生み出す一つの体系として確立しつつあり、大学の先端技術や独創的なアイデアと、企業の市場開拓力や実装力が組み合わさることで、たんぱく質研究を社会に広げる動きが加速すると考えられる。

また、産学連携を利用することで新たな技術、機会の創出にも繋がることがわかる。

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参考文献

・Mordor inteligence

プロテオミクス市場規模・シェア分析 - 成長トレンドと予測(2026年~2031年)

URL:https://www.mordorintelligence.com/ja/industry-reports/global-proteomics-market-industry

・公益財団法人ライフサイエンス振興財団 

2024年ノーベル賞特集2 タンパク質の構造予測や設計を行うAIの開発者にノーベル化学賞

URL:https://room.lifesci-found.com/

・東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部

植物を用いた有用タンパク質生産のための研究開発拠点を設置しました ―世界初の“一気通貫型システム”で次世代製造の扉を開く―

URL:https://www.a.u-tokyo.ac.jp/news/news_20250709-1.html

・The Nobel Prize

Press release: The Nobel Prize in Chemistry 2024

URL:https://www.nobelprize.org/prizes/chemistry/2024/press-release/

・NEDO

植物を用いた有用タンパク質生産のための研究開発拠点を設置しました ―世界初の“一気通貫型システム”で次世代製造の扉を開く―

URL:https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101866.html