
一般衛生管理(PRP or PP:Prerequisite Program)は、HACCPを効果的に機能させるために不可欠な衛生管理プログラムを指す。
一般衛生管理の定義と役割

ここでは、一般衛生管理の定義と役割を説明する。
一般衛生管理の定義と意味
一般衛生管理は、英語表記でPrerequisite Programと表され、PRPもしくはPPと略される。
直訳では、「前もって必要なプログラムのまとめ」「前提条件プログラム」と訳される。
一般衛生管理の役割
食中毒や異物混入を防ぐための基本であり、日々の清掃、手洗い、温度管理、記録などを仕組化する役割がある。
また、すべての食品等事業者(食品の製造・加工、調理、販売等)は、HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point:危害分析及び重要管理点)に沿った衛生管理の実施が必要である。このHACCPの前提条件となるのが一般衛生管理であり、清潔で衛生的な環境の確保を保つための整備要件が詳細に記されている。
一般衛生管理の基準

一般衛生管理の具体的な基準について説明する。
一般衛生管理の基準はどこに定められているか
一般衛生管理の基準は、食品衛生法第51条第1項の別表17に定められている。
一般衛生管理に含まれる14項目
以下14項目が、一般衛生管理の基準である。

出典:厚生労働省 一般的な衛生管理に関する基準
HACCP・CCPと一般衛生管理の関係(全体像把握)

ここでは、一般衛生管理を理解するうえで不可欠なHACCP・CCPの説明をする。
HACCP・CCPとは
HACCPは、Hazard Analysis Critical Control Pointの略称であり、日本語で「危害分析及び重要管理点」と訳される。
原材料の受け入れから製造、出荷までの全工程で危害要因を予測し、特に重要な工程(CCP)を管理するためのプログラムである。
CCPはCritical Control Pointの略称であり、日本語で「重要管理点」と訳される。
HACCPの手順7(原則2)に該当する。手順6(原則1)の危害要因分析によって特定されたリスクのうち、この工程以降にリスクを除去・低減できる工程がない場合にCCPに分類される。
一般衛生管理との関係

出典:一般社団法人日本冷凍食品協会 冷凍食品製造事業者向け HACCPに基づく衛生管理のための手引書
一般衛生管理はHACCPを機能させるための前提プログラムである。
HACCPの手順6(原則1)の危害要因分析を行った結果、一般衛生管理のみで食品衛生上の危害の発生を十分防止できる場合、CCPを設ける必要はない。
ただ、その考え方や根拠となる資料を文書とし、食品衛生監視員等に求められた際は、説明する必要がある。
HACCPに基づく衛生管理・HACCPの考え方を取り入れた衛生管理との違い

一般衛生管理とも関係が深いHACCPに沿った衛生管理について説明する。
HACCPに沿った衛生管理

出典:厚生労働省 HACCPに沿った衛生管理の制度化について
原則、すべての食品等事業者は、一般衛生管理に加えて、HACCPに沿った衛生管理が義務化されている。
HACCPに沿った衛生管理は、「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」に分類される。
HACCPに基づく衛生管理
HACCP に基づく衛生管理は、コーデックス委員会(※)が策定した HACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じ、計画を作成し、管理を行う衛生管理である。
また衛生水準についても、コーデックスが定める HACCP の7原則を要件としている。
※コーデックス委員会:国際連合食糧農業機関 (FAO)と世界保健機関 (WHO)が 1963 年に設立した、食品の国際基準を策定している政府間組織
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理は、取り扱う食品の特性に応じた衛生管理であり、HACCP に基づく衛生管理をそのまま実施することが困難な小規模事業者等に求められている。
1. 対象となる事業者は以下のようなものが該当する。
2. 食品等の取扱いに従事する者の数が 50 人未満の小規模な製造・加工等の事業場
3. 製造・加工した食品の全部又は大部分を併設された店舗において小売販売する営業者(※1)
4. 飲食店等の食品の調理を行う営業者(※2)
5. 容器包装に入れられた食品又は包まれた食品のみを貯蔵、運搬、又は販売する営業者
食品を分割して容器包装に入れ、又は包んで小売販売する営業者(※3)
※1:菓子の製造販売、豆腐の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売等
※2:飲食店営業のほか、喫茶店営業、給食施設、そうざい製造業、パン製造業(消費期限が概ね 5 日程度のもの)、調理機能を有する自動販売機が含まれる
※3:青果店、コーヒーの量り売り等
参照:厚生労働省 HACCP に沿った衛生管理の制度化に関するQ&A
また、この衛生管理は、業界団体が作成し、厚生労働省がその内容を確認した手引書の内容を実施することで対応が可能である。
2つの衛生管理の違いに伴う一般衛生管理の役割
どちらの衛生管理においても一般衛生管理は、前提となるプログラムである。
ただ、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理では、一般衛生管理とHACCPの考え方が統合された管理手法になっている。
一般衛生管理がHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の中に組み込まれているような手法であるが、それで運用されることについては問題ない、とされている。
まとめ
一般衛生管理は、HACCPを効果的に機能させるために必要なプログラムである。
食品事業者は、一般衛生管理の基準を理解し、運用すると同時に、該当するHACCPに沿った衛生管理を実施することが求められる。

参考文献
[1]神戸市食品衛生協会 10.一般衛生管理について
https://fha-kobe.jp/haccp/knowledge/qa10/
[2]厚生労働省 一般的な衛生管理に関する基準
https://www.mhlw.go.jp/content/000970949.pdf
[3]CAA(消費者庁)食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政省令の制定について
[4]厚生労働省 HACCP に沿った衛生管理の制度化に関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11135200/001468724.pdf
[5]公益社団法人日本食品衛生協会 HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)