
たんぱく質と聞くと、筋肉やプロテインを思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし、たんぱく質は筋肉だけの材料ではありません。臓器、肌、髪など、体のさまざまな部分や働きに関わっています。
たんぱく質を理解するうえで大切なのは、「どれくらい摂るか」だけではありません。たんぱく質は、アミノ酸がつながってできた分子であり、その並び方や立体構造によって働きが変わります。
この記事では、たんぱく質を「栄養素」としてだけでなく、「体の中で働く分子」として、アミノ酸・構造・機能の関係から整理します。
たんぱく質とは何か

[2]たんぱく質は、炭水化物・脂質と並ぶ三大栄養素(=エネルギー産生栄養素)の一つです。同時に、筋肉、臓器、皮膚、毛髪など、体を構成する材料でもあれば、ホルモン・酵素・抗体などの体の調節機能を持つ成分にも関わる重要な栄養素だとされています。
つまり、たんぱく質は単に「体を作る材料」ではありません。食べ物の消化を助ける酵素、体内で情報を伝えるホルモン、外敵から体を守る抗体なども、たんぱく質と深く関係しています。
そのため、たんぱく質は「材料」と「働く分子」の両方の面から理解すると、役割が見えやすくなります。
たんぱく質とアミノ酸の関係

[3]たんぱく質は、アミノ酸という小さな単位が多数つながってできています。人の体のたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、これらがさまざまな組み合わせや順序で結びつくことで、多様なたんぱく質になります。
つまり、アミノ酸は文字、たんぱく質は文章のようなものです。同じ文字を使っていても、並び順が変わると意味の違う文章になります。同じように、アミノ酸の種類や並び順が変わると、できあがるたんぱく質の性質や働きも変わります。
また、食事から摂ったたんぱく質は、そのまま体のたんぱく質になるわけではありません。胃や小腸で消化されてアミノ酸として吸収され、必要に応じて新しいたんぱく質に作り替えられます。
たんぱく質の構造を理解する

[4]たんぱく質は、単なるアミノ酸の鎖ではありません。アミノ酸が特定の立体構造を作ることで働きます。
たんぱく質の構造は、一次構造・二次構造・三次構造・四次構造という階層で整理されます。
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構造 |
内容 |
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一次構造 |
アミノ酸の並び方 |
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二次構造 |
αヘリックス、βシートなどの部分的な折りたたみ |
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三次構造 |
一本のポリペプチド鎖全体が折りたたまれた立体構造 |
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四次構造 |
複数の鎖が集まってできる構造 |
[5]アミノ酸がつながったポリペプチド鎖の並び順を、たんぱく質の一次構造といいます。その鎖の一部が、らせん状のαヘリックスや板状のβシートなどの形をとると、二次構造になります。さらに、これらの二次構造が組み合わさって1本の鎖全体が折りたたまれたものが三次構造です。二次構造が組み合わさり、その間を短く柔らかく折れ曲がった鎖がつないで、たんぱく質の立体構造、つまり三次構造を作ります。
また、複数のポリペプチド鎖が集まって働くたんぱく質では、サブユニットの種類や数、組み合わせ方を四次構造と呼びます。たんぱく質は、アミノ酸の並び方だけでなく、折りたたまれてできる立体的な形によって働きが変わります。そのため、たんぱく質を理解するには、「アミノ酸の並び順」と「立体構造」をつなげて考えることが重要です。
たんぱく質の主な働き

たんぱく質の働きは非常に幅広く、「筋肉の材料」だけでは説明しきれません。
たとえば、コラーゲンは皮膚や結合組織を支える構造たんぱく質として知られています。酵素は体内の化学反応を助け、ヘモグロビンは酸素の運搬に関わります。抗体は免疫に関わり、[6]アクチンやミオシンは筋肉の収縮に関係します。
たんぱく質は構造支持、生化学反応の触媒、ホルモン、酵素、細胞の構成要素など、多様な役割を持つ生体分子とされています。
ここで重要なのは、機能の違いは構造の違いと結びついているという点です。酸素を運ぶたんぱく質、反応を進めるたんぱく質、体を支えるたんぱく質では、アミノ酸の並び方も、折りたたまれ方も、働く場所も異なります。
たんぱく質を理解するには、「アミノ酸がつながる」「折りたたまれて形を作る」「形に応じて働く」という流れで見ると整理しやすくなります。
まとめ

たんぱく質は、アミノ酸がつながってできた分子です。人の体のたんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、その種類や並び順によって、たんぱく質の性質は変わります。
さらに、たんぱく質はアミノ酸の鎖のまま働くのではなく、折りたたまれて立体構造を作ります。一次構造、二次構造、三次構造、四次構造という階層で見ると、アミノ酸の並び方が構造につながり、構造が機能につながることがわかります。
たんぱく質は、体を作る材料であると同時に、酵素、ホルモン、抗体、輸送、運動など、生命活動を支える分子でもあります。たんぱく質を深く理解する第一歩は、「量」だけでなく、「アミノ酸」「構造」「機能」をセットで見ることです。
参考文献
[1]森永製菓株式会社 「タンパク質とは【タンパク質の種類、機能、働きなどを解説】」
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=113&category=health
[2]厚生労働省 「たんぱく質❘生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット)」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-044
[3]厚生労働省 「アミノ酸|生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット)」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-001
[4]SPring-8 「タンパク質の基本構造」
http://www.spring8.or.jp/pdf/ja/SP8_news/no5_2k/plus-body.pdf
[5]昭和医科大学 「タンパク質の一次構造と高次構造」
https://www10.showa-u.ac.jp/~biolchem/H21-P2protein.pdf
[6]運動の基礎知識|1.「運動」とは筋肉の収縮の繰り返し
https://www.almediaweb.jp/diabetes_dialysis/diabetes_dialysis-003/part2/01.html