ホヤは新しいたんぱく質資源になり得るか?未利用資源の可能性と栄養価

ホヤは新しいたんぱく質資源になり得るか?未利用資源の可能性と栄養価

Protein hub編集部 編集部

原料・素材
ホヤは新しいたんぱく質資源になり得るか?未利用資源の可能性と栄養価

世界的な人口増加に伴い、将来的にたんぱく質の需要に対して供給が追いつかなくなる「たんぱく質不足(プロテインクライシス)」が懸念されています。大豆や昆虫食などが代替たんぱく質として注目を集める中、日本になじみ深い海産物である「ホヤ」が新たな資源として期待されています。

結論からお伝えすると、ホヤは微量栄養素を含み、無給餌養殖という特性もあるため、未利用資源を活用したサステナブルなたんぱく質素材としての可能性があります。

本記事では、農林水産省や東北農政局のデータをもとに、ホヤが持つ栄養価と未利用資源としての可能性、そして実用化に向けた課題について解説します。

ホヤ(海鞘)の基本的な栄養素と特徴

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ホヤは独特の風味から好みが分かれる食材ですが、栄養学的な観点から見ると非常に特徴のある食品です。

引用元:青森のうまいものたち: https://www.umai-aomori.jp/pickup/detail_132.html

低脂質で、たんぱく質素材化が期待される食材 

生の状態のホヤは水分が多いため、100gあたりのたんぱく質量は約5.0gですが、脂質はわずか0.8g、カロリーも27kcalと非常にヘルシーです。

カロリーに対するたんぱく質の割合が高く、これを乾燥させて水分を抜き、粉末状などに加工できれば、高濃度のたんぱく質素材となることが期待されています。

鉄や亜鉛などの微量栄養素が豊富

たんぱく質だけでなく、ホヤは毎日の食事で意識して摂りたい栄養素を豊富に含んでいます。

東北農政局の資料によると、血液の材料となる「鉄」や、味覚を正常に保つ働きに関わる「亜鉛」、神経の働きを助ける「ビタミンB12」などが含まれており、栄養を補給する食品のベースとしても適しています。

【ホヤ(生)100g当たりの主な栄養成分】

エネルギー (kcal)

水分 (g)

たんぱく質 (g)

脂質 (g)

炭水化物 (g)

鉄 (mg)

亜鉛 (mg)

27

88.8

5.0

0.8

0.8

5.7

5.3

(参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」)

なぜホヤが「新たなたんぱく質資源」として注目されるのか

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さまざまな代替たんぱく質がある中で、ホヤが研究対象となっている背景には、「未利用資源の活用」と「環境への配慮」という2つの大きな理由があります。

未利用・低利用となるホヤの有効活用

養殖されているホヤの中には、成長しすぎてしまったり、形が悪かったりするという理由で、市場に出回らず廃棄されてしまう「未利用資源」が存在します。

こうした本来捨てるはずだったホヤを回収し、たんぱく質を抽出してプロテイン粉末や食品素材に生まれ変わらせる(アップサイクルする)研究が進められています。

人工エサが不要で環境負荷が低い

牛や豚などの畜産業は、大量の穀物飼料の確保や温室効果ガスの排出といった環境負荷が課題とされています。

一方、農林水産省の解説によると、ホヤは海中のプランクトンを食べて育つため、人工的なエサを与える必要がほとんどありません。地球環境に配慮したサステナブルなたんぱく源として、環境負荷を低減する観点からも注目されています。

ホヤをたんぱく質素材として普及させるための課題

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持続可能で栄養価も高いホヤですが、一般的なプロテインパウダーや代替肉のように広く普及させるためには、乗り越えるべきハードルがあります。

独特の風味(クセ)と鮮度管理を乗り越える加工技術

最大の課題は、ホヤ特有の強い風味です。

農林水産省や東北農政局の資料によると、ホヤは「甘味、酸味、塩味、苦味、旨味」の5つの味覚をすべて併せ持つ稀有な食材です。しかし、鮮度が落ちると強い磯の臭みやえぐみが出やすくなります。

たんぱく質素材としてクッキーや飲料、代替肉などに混ぜて広く使うためには、この風味を抑えるか、あるいは旨味成分だけを活かすための高度な抽出・脱臭技術が不可欠です。今後、抽出・脱臭などの加工技術の確立が実用化の鍵になります。

まとめ

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現状ではまだ一般的な代替たんぱく質とは言えないホヤですが、廃棄される未利用資源を有効活用できる点や、環境負荷の低い養殖が可能である点など、これからの時代に求められる条件を満たしています。

加工技術がさらに進歩し、風味の課題がクリアされれば、近い将来、ホヤ由来のサステナブルなたんぱく質が私たちの身近な食品として当たり前に活用される日が来るかもしれません。

参考文献