トマト・玉ねぎ・青のりはプロテイン臭を隠せる?マスキングの食品科学

トマト・玉ねぎ・青のりはプロテイン臭を隠せる?マスキングの食品科学

Protein hub編集部 編集部

食事で摂る
トマト・玉ねぎ・青のりはプロテイン臭を隠せる?マスキングの食品科学

プロテインを料理に混ぜると、たんぱく質量は上げやすい一方で、乳っぽさ、紙のようなにおい、豆臭さ、青臭さ、苦味が気になることがあります。

トマト・玉ねぎ・青のりは、条件が合えばプロテイン特有のにおいを感じにくくする助けになります。ただし、においを「消す」というより、酸味・うま味・香気で料理として自然に感じやすくするマスキングの考え方で捉えるのが現実的です。

マスキングとは何か

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マスキングとは、食品の好ましくない味やにおいを、別の味・香り・食感で目立ちにくくする設計です[1]。

プロテイン臭は、原料によって出方が異なります。ホエイでは、加工や保存条件によって加熱乳様、紙様、酸化臭のようなオフフレーバーが目立つことがあります[10]。ソイやピーでは、豆臭、青臭さ、土っぽさなどが課題になる場合があり、不飽和脂肪酸の酸化などが関わるとされています[1][2]。

そのため、プロテインの風味改善では、単に甘味を足すだけでなく、「どんな料理の香りに寄せるか」を考えることが大切です。

なぜトマト・玉ねぎ・青のりが使いやすいのか

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トマト:酸味とうま味で料理化しやすい

トマトは酸味とうま味を持つため、プロテインを水に溶かして飲むよりも、スープやソース、煮込みのような料理の味に寄せる際の候補になり得ます。

トマトのパルプにはグルタミン酸などのうま味成分が多く、13品種を調べた研究では、果肉よりパルプの方が平均グルタミン酸量が高いと報告されています[3]。また、5%の大豆たんぱくを含むトマトソースのモデル研究では、大豆たんぱく風味のマスキングが報告されています[4]。

玉ねぎ:香味と加熱香で輪郭を変える

玉ねぎは、切ることで含硫黄化合物に由来する特徴的な香りが生じ、加熱すると甘く香ばしい香りも出ます[5][6]。

この香味や加熱香は、少量のソイプロテインやピープロテインの青臭さが気になる場合に、カレーやミートソース風など、香りのある料理へ寄せる選択肢になります。あくまで料理設計上の工夫ですが、粉っぽさや豆っぽさを単独で感じにくくする助けにはなります。

青のり:磯の香りとうま味で文脈を変える

青のりは少量でも香りの印象が出やすい食材です。海藻にはグルタミン酸由来のうま味があり[7]、磯の香りに関わる成分としてジメチルスルフィドも知られています[8][12]。

青のりは、豆臭を完全に消すというより、磯の香りやうま味によって、和風・粉もの・じゃがいも料理などに用いやすい食材です。

使うときの注意点

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マスキングは、プロテイン量が多いほど難しくなります。無香料プロテインを水だけに溶かす場合、トマトや青のりのような食材を足しても違和感が残ることがあります。

家庭で使う場合は、粉を少量から試し、油分、塩味、酸味、とろみを組み合わせると調整しやすくなります。青のり・海藻類は少量でも香りの印象が出やすいため、配合量によっては主役の味より目立つこともあります[12]。

商品開発では、「においが隠れているか」だけでなく、後味、色、沈殿や濁り、保存中の風味変化も評価対象に入れるとよいでしょう。大豆たんぱく飲料の研究でも、感覚受容性、保存安定性、物理化学的性質などが評価されています[11]。また、保存中の感覚特性を見る試験では、外観、におい、風味、後味、オフフレーバーなどが評価項目になります[13]。

事業者が専用のマスキング香料を使う場合は、食品添加物としての使用可否、使用基準、表示の確認も必要です[9]。 

まとめ

トマトは酸味とうま味、玉ねぎは香味と加熱香、青のりは磯の香りとうま味によって、プロテイン臭を目立ちにくくできる可能性があります。

ポイントは「消臭」ではなく、「料理として自然な香りに包む」ことです。生活者には高たんぱくレシピの工夫として、事業者には高たんぱく食品の処方設計や試作評価の視点として役立ちます。

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参考文献

[1] [IFT. “Blessings in Disguise: Masking Off-Flavors.”]  

URL:https://www.ift.org/food-technology-magazine/ingredients-masking-off-flavors

確認日:2026年6月9日

[2] [Tao et al. “Mechanism and application of fermentation to remove beany flavor from plant-based meat analogs.” Frontiers in Microbiology.]  

URL:https://www.frontiersin.org/journals/microbiology/articles/10.3389/fmicb.2022.1070773/full

確認日:2026年6月9日

[3] [Oruna-Concha et al. “Differences in glutamic acid and 5'-ribonucleotide contents between flesh and pulp of tomatoes and the relationship with umami taste.”]  

URL:https://centaur.reading.ac.uk/13108/

確認日:2026年6月9日

[4] [McDaniel, M. R., Chan, N. “Masking of Soy Protein Flavor by Tomato Sauce.” Journal of Food Science.]  

URL:https://ift.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1365-2621.1988.tb10184.x

確認日:2026年6月9日

[5] [Randle, W. M. “Onion flavor chemistry and factors influencing flavor intensity.”]  

URL:https://agris.fao.org/search/en/providers/122535/records/65dfa80e63b8185d9cade548

確認日:2026年6月9日

[6] [日本大学 食品化学研究室「飴色タマネギの食欲増進フレーバー」]  

URL:https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~food-c/about.html

確認日:2026年6月9日

[7] [Harvard T.H. Chan School of Public Health. “Seaweed.”]  

URL:https://nutritionsource.hsph.harvard.edu/seaweed/

確認日:2026年6月9日

[8] [Morisaki et al. “Dimethyl sulfide as a source of the seaweed-like aroma in cooked soybeans and correlation with its precursor, S-methylmethionine.”]  

URL:https://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/25557

確認日:2026年6月9日

[9] [消費者庁「食品添加物」]  

URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives

確認日:2026年6月9日

[10] [U.S. Dairy Export Council. “Sensory Properties of Whey Ingredients.”]  

URL:https://www.usdairy.com/getmedia/0bc0b836-4556-45bf-9eeb-412ed534dbac/technicalreportsensorypropertiesofwheyingredientspdf.pdf.pdf

確認日:2026年6月9日

[11] [Nguyen et al. “Protein-rich beverage developed using non-GM soybean (R08-4004) and evaluated for sensory acceptance and shelf-life.”]  

URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5055891/

確認日:2026年6月9日

[12] [天野秀臣「海苔の香り」]  

URL:https://nori.or.jp/essay/pdf/vol_007.pdf

確認日:2026年6月9日

[13] [Society of Sensory Professionals. “Sensory Shelf-Life Test.”]  

URL:https://www.sensorysociety.org/knowledge/sspwiki/Pages/Sensory%20Shelf-Life%20Test.aspx

確認日:2026年6月9日