プロテインは腎臓・肝臓に悪い?高たんぱく食品で知っておきたいこと

プロテインは腎臓・肝臓に悪い?高たんぱく食品で知っておきたいこと

Protein hub編集部 編集部

食事で摂る
プロテインは腎臓・肝臓に悪い?高たんぱく食品で知っておきたいこと

プロテインや高たんぱく食品について、「腎臓や肝臓に負担がかかるのでは」と不安になる人は少なくありません。しかし、「健康な人が食事全体の中でたんぱく質を適量摂ること」と、「腎機能低下や肝疾患がある人が自己判断で高たんぱくにすること」は分けて考える必要があります。

この記事では、生活者が高たんぱく食品を選ぶときに見るべき点と、事業者が日常食品を高たんぱく化する際に注意したい原料、食感、糖質、表示の論点を紹介します。

たんぱく質量は「1商品あたり」ではなく「1日全体」で見る

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プロテインパウダーや高たんぱくヨーグルト、バー、パン、麺は、形は違っても、体に入ればたんぱく質源の一つです。問題になりやすいのは、商品そのものではなく、食事全体でどれくらい摂っているかです。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人・高齢者・小児のたんぱく質維持必要量として0.66g/kg体重/日が用いられています[1]。一方、運動習慣のある人では、国際スポーツ栄養学会のレビューで1.4〜2.0g/kg体重/日が多くの運動者に十分な範囲として示されています[2]。ただし、あくまで運動者向けの文脈であり、すべての人が目指す量では無いことに注意が必要です。

「高たんぱく=誰にでも良い」ではない

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 CKDではたんぱく質量が医療管理の対象になる

腎臓は、たんぱく質が体内で使われた後に生じる老廃物の排泄にも関わります。そのため、慢性腎臓病(CKD)の人では、たんぱく質の摂り方が医師や管理栄養士による栄養管理の対象になります。

日本腎臓学会のCKD診療ガイド2024では、CKDステージG1〜G2では過剰摂取をしないよう注意し、G3aでは0.8〜1.0g/kg/日、G3b以降では0.6〜0.8g/kg/日で指導することが推奨されています[3]。また、制限を行う場合には、十分なエネルギー摂取と栄養状態のモニタリングが重要とされています[3]。

ここで見落としやすいのは、たんぱく質だけを減らせばよいわけではない点です。エネルギー不足のまま制限すると、体たんぱくの分解や低栄養につながる可能性があるからです。腎機能に不安がある人は、健康診断のeGFR、尿たんぱく、血圧、糖尿病の有無なども含めて医療者に確認するのが現実的です。

商品開発で「腎臓にやさしい」と安易に言わない

高たんぱく食品を開発する側では、腎臓に関する表現に注意が必要です。通常食品で「腎臓を守る」「腎機能を改善する」といった印象を与える表現は、健康効果や疾病予防を示す表現として問題になり得ます。

さらに、腎臓への配慮を想起させる商品では、たんぱく質量だけでなく、ナトリウム、カリウム、リン、エネルギー量も検討対象になります。高たんぱく訴求の商品と腎臓病食の考え方は同じではありません。

肝臓では「たんぱく質を減らす」より「栄養状態の観察」

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肝疾患では自己判断の制限が合わないことがある

肝臓はアミノ酸代謝やアンモニア処理に関わるため、「肝臓が悪いならたんぱく質を控えるべき」と考えられがちです。しかし、肝疾患では低栄養や筋肉量の低下が問題になることもあります。

肝硬変診療ガイドライン2020では、蛋白不耐症がない場合の蛋白質必要量は1.0〜1.5g/kg/日を基本とし、栄養障害のない代償性肝硬変では1.2g/kg/日、栄養障害やサルコペニアを合併する場合は1.2〜1.5g/kg/日を摂取する必要があると説明されています[4]。また、肝性脳症時の蛋白質制限は、窒素平衡を負に傾けるため推奨されていないと記載されています[4]。

つまり、腎臓と同様で、肝疾患がある人は病態、食欲、筋肉量、合併症、薬剤、BCAA製剤の使用などを含めて、主治医や管理栄養士の指示を優先する必要があります。

高たんぱく食品でも糖質・脂質・総エネルギーを見る

肝臓を意識する生活者にとっては、たんぱく質量だけでなく、糖質、脂質、アルコール、総エネルギー量も重要です。例えば、高たんぱくをうたう菓子やバーでも、糖質や脂質が多ければ、食事全体のエネルギーが増えます。

商品開発では、健康的な印象を出す商品ほど、栄養成分表示と実際の食シーンがずれていないかを確認することが大切です。

高たんぱく食品の開発は、量・原料・食感・表示をセットで考える

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原料を増やすほど食感と風味の課題が出やすい

日常食品を高たんぱく化する場合、ホエイ、カゼイン、大豆、エンドウ豆、卵白、コラーゲンペプチドなどの原料選定が品質を左右します。飲料では沈殿や粘度、酸性条件での安定性が課題になり、パンや麺ではパサつき、硬さ、まとまりに影響します。バーや焼き菓子では、粉っぽさ、後味、甘味料との相性が差になります。

生活者にとっては、続けやすい味、食感、価格、アレルゲン、糖質量を合わせて見る方が選びやすくなります。事業者にとっては、原料単体のたんぱく質含有率に加えて、最終商品の水分、加熱条件、保存中の硬化、表示値とのずれまで見る必要があります。

表示・広告では基準と表現範囲を確認する

消費者庁は、健康の保持増進に関わる栄養成分を強調する表示について、基準を満たした食品だけに使えると説明しています。たんぱく質は「高○○」「○○豊富」「○○源」「○○30%アップ」などの栄養強調表示の対象です[5]。

そのため、「高たんぱく」「たんぱく質強化」と訴求する場合は、食品表示基準に沿った確認が必要です。さらに、腎臓や肝臓に関しては、「負担を減らす」「機能を改善する」といった表現に寄せすぎないことが重要です。通常食品、機能性表示食品、栄養機能食品、特保を混同せず、商品の制度上の位置づけに合う言葉を選ぶ必要があります。

まとめ:不安をあおらず、判断材料を増やす

腎臓・肝臓とプロテインの関係は、「誰が」「どのくらい」「どの食品から」「どの健康状態で摂るのか」を見るテーマです。

生活者は、1商品あたりのたんぱく質量だけでなく、1日の合計量、基礎疾患、糖質・脂質、食べ続けやすさを確認すると判断しやすくなります。事業者は、たんぱく質量の訴求に加えて、原料特性、食感、アレルゲン、栄養成分表示、広告表現まで含めて設計する必要があります。高たんぱく食品の価値は、数字を大きくすることだけではなく、食事全体の中で無理なく使える形に落とし込むことで伝わりやすくなります。

参考文献

[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」

URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf

確認日:2026年6月5日

[2] Jäger R, et al. “International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise.” Journal of the International Society of Sports Nutrition. 2017.

URL:https://link.springer.com/article/10.1186/s12970-017-0177-8

確認日:2026年6月5日

[3] 日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024 8 栄養 成人CKD患者への栄養管理」

URL:https://jsn.or.jp/data/gl2024_ckd_ch08.pdf

確認日:2026年6月5日

[4] 日本消化器病学会・日本肝臓学会「肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)」

URL:https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/kankouhen2020_re.pdf

確認日:2026年6月5日

[5] 消費者庁「栄養成分表示について」

URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/

確認日:2026年6月5日