“たんぱく質がとれる水”の開発課題|にごり・沈殿・後味をどう見るか

“たんぱく質がとれる水”の開発課題|にごり・沈殿・後味をどう見るか

Protein hub編集部 編集部

プロテイン製品
“たんぱく質がとれる水”の開発課題|にごり・沈殿・後味をどう見るか

“たんぱく質がとれる水”は、RTD市場のトレンドだけでなく、飲料開発の技術課題として見ると理解しやすい。見た目は水に近くても、たんぱく質を配合した時点で、にごり、沈殿、加熱後の変化、後味が設計上の論点になりやすい。特にtoBの商品開発では、「たんぱく質を何g入れるか」だけでなく、外観と飲みやすさをどの条件で保つかを確認したい。

定義・基本:本記事で扱う“たんぱく質がとれる水”

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本記事では、“たんぱく質がとれる水”を、乳飲料のような白濁タイプではなく、透明または半透明のプロテイン強化飲料として扱う。原料としては、ホエイプロテインアイソレート(WPI)が候補になりやすい。

USDECの資料では、酸性ホエイプロテイン飲料はpH2.8〜4.0程度で設計される例があり、pH2.8〜3.5ではWPI配合飲料が高い清澄性・低濁度を示しやすいとされる[1]。一方、pH3.5〜4.5付近では、たんぱく質が等電点に近づくため、ペクチンなどの安定剤を検討する場合がある[2]。

なぜ使われるか・なぜ重要か:軽い飲用体験を作りやすい

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透明系プロテイン飲料は、粉末シェイクや乳系RTDとは異なる飲用体験を作りやすい。スポーツドリンクやフレーバーウォーターに近い軽さを狙えるため、運動後、移動中、日常の栄養補給などの場面に合わせた商品設計がしやすくなる。

ただし、透明系を狙う場合、わずかなにごりや白い沈殿でも外観上の違和感につながる可能性がある。熱安定性は、過度な濁度、粘度上昇、相分離、沈殿、ゲル化などを起こしにくい性質として説明されており、透明系飲料では開発初期から評価項目に入れておきたい[5]。

注意点:にごり・沈殿・後味は処方と工程で変わる

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pHと原料グレードが清澄性に関わる

ホエイたんぱく質は、pHやミネラル、加熱条件によって凝集のしやすさが変わる。U.S. Dairyの熱安定性レポートでは、ホエイたんぱく質の熱変性について、たんぱく質の立体構造がほどける「unfolding」と、たんぱく質同士が集まる「aggregation(凝集)」を含む現象として説明されている。また、こうした凝集は、温度、イオン強度、イオン源、pHの影響を受けるとされる[5]。 

そのため、透明系飲料では、WPIの脂質・ミネラル量、pH、たんぱく質濃度、加熱条件をセットで見たい。特にpHが等電点付近に近づく処方では、にごりや沈殿が出やすくなる可能性がある[4]。

酸添加と水和時間も外観に影響し得る

酸を加える工程も、外観安定性に影響しやすい。USDEC資料では、酸性化工程は一般にpH6.5前後のたんぱく質溶液を、主要たんぱく質の等電点帯であるpH4.5前後を通過させる工程と説明されている[1]。添加順序、添加方法、添加速度は処方ごとに確認したい。

また、同資料では、WPI 25g/L、pH3.2、88℃・2分加熱の条件で、水和時間なしでは加熱後の濁度が79NTUだったのに対し、20分水和では38NTUだったと示されている。40NTU未満は消費者に透明と見なされる目安とされており、水和時間の管理が外観に関わることが分かる[1]。

後味は酸味だけでは説明しにくい

後味や飲みにくさには、酸味、苦味、乳由来の香り、収れん感などが関わる場合がある。USDECの感覚特性レポートでは、WPCやWPIに関連する感覚属性として、加熱乳のような風味、乳っぽい風味、苦味、収れん感などが挙げられている[3]。

酸性WPI飲料に関するChildsとDrakeの研究では、フォーカスグループ49人、受容性試験120人を対象に、収れん感と嗜好性が検討された。同研究では、WPI由来の風味が、収れん感だけの場合よりも飲料受容性に影響した可能性が示されている[6]。

pHを3.5より高くすると収れん感は下がりやすい一方で、清澄性や熱安定性の維持は難しくなる場合があるとされる[1][2][3]。 そのため、酸味料、香料、甘味設計、必要に応じたマスキング素材を、個別ではなく処方全体で確認したい。

まとめ:透明なプロテイン飲料は“処方×工程”で見る

“たんぱく質がとれる水”は、見た目のシンプルさに反して、処方と工程の影響を受けやすい製品といえる。開発時には、配合量だけでなく、WPIの原料特性、pH、ミネラル、酸添加、水和、加熱、保管条件、香味設計を合わせて評価したい。

試作段階では、濁度、沈殿、pH変動、加熱後変化、保存中の外観、官能評価をセットで見ると、量産時のリスクを把握しやすい。透明で飲みやすいプロテインウォーターは、RTD商品の一形態であると同時に、飲料開発の技術力が表れやすい領域である。

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参考文献

[1] U.S. Dairy Export Council. “U.S. Dairy Proteins and Permeates in Ready-to-Drink Beverages.”

URL:https://www.thinkusadairy.org/assets/documents/Customer%20Site/C3-Using%20Dairy/C3.7-Resources%20and%20Insights/03-Application%20and%20Technical%20Materials/USD8859_RTD_Beverage_Monograph_01.pdf

確認日:2026年6月9日

[2] Center for Dairy Research, University of Wisconsin–Madison. “Formulating Dairy Protein Beverages.”

URL:https://cdr.wisc.edu/beverages-formulating-dairy-protein-beverages

確認日:2026年6月9日

[3] U.S. Dairy Export Council. “Technical Report: Sensory Properties of Whey Ingredients.”

URL:https://www.usdairy.com/getmedia/0bc0b836-4556-45bf-9eeb-412ed534dbac/technicalreportsensorypropertiesofwheyingredientspdf.pdf.pdf

確認日:2026年6月9日

[4] LaClair CE, Etzel MR. “Ingredients and pH are Key to Clear Beverages that Contain Whey Protein.” Journal of Food Science. 2010.

URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20492145/

確認日:2026年6月9日

[5] U.S. Dairy Export Council. “Technical Report: Whey Protein Heat Stability.”

URL:https://www.usdairy.com/getmedia/19475fec-a108-42b9-b904-14f4fde58176/technicalreportwheyproteinheatstabilitypdf.pdf.pdf

確認日:2026年6月9日

[6] Childs JL, Drake M. “Consumer Perception of Astringency in Clear Acidic Whey Protein Beverages.” Journal of Food Science. 2010.

URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21535625/

確認日:2026年6月9日